老眼になるのはピント機能の弱化のほかにも原因があった

目の神経細胞「網膜」から考える

目の神経細胞「網膜」から考える老眼のしくみ

これまで、老眼の原因としてよく挙げられていたものに、
目の水晶体を調節するための、毛様体という筋肉が弱化する事によって引き起こされると言われていました。
毛様体の筋肉が老化によって弱る事で、レンズにあたる水晶体を調節する事ができなくなり、
近くのものにピントが合わせられなくなってしまい、それが老眼となるというのが一般的な見解でした。

それは確かに老眼の原因の一つではありますが、眼精疲労などとメカニズムが似ており、
スマートフォンなどの電子機器が普及する現代では、目の酷使をくりかえす事により、
早ければ10代でも、老眼と同じ症状が出てきてしまうという報告もありました。

そのような事もあり、水晶体の事だけで、老眼の経過の全てが理解できたとは言えませんでした。
老眼と同じ現象が、若い世代にも確認されている現状を踏まえると、
本当の老化による老眼は、もっと深い原因が隠されていたと考えるのは妥当な事でしょう。

今回、ある外国の研究者のグループが、老眼に関する研究結果を発表しています。
それは、「網膜」と呼ばれる部分についての検証でした。

網膜は、神経細胞の膜が幾重にも重なって出来ている膜の層です。
これは、目に見える映像を脳へと伝える神経信号を送る働きをもつ器官です。
光をキャッチする「視細胞」のほか、多くの神経細胞が存在する非常に繊細な部分です。

老眼のメカニズムに関係する網膜の研究は、
これまでのピント調節機能の衰えとはまた違った切り口での研究です。

目のレンズ機能の水晶体は目の前の部分に位置していますが、
網膜の場所は眼球の後ろ側にある膜で、そこにはいくつもの膜の層が存在します。
その膜のいくつもの層に、それぞれの役割をもった細胞が密集しているのです。

研究グループは、神経細胞の膜の層にスポットを当てて、特殊な方法で観察しました。
この研究には亡くなった若い人と老人の2つのグループに分けて検証されました。
以下の3つは、網膜の層の一部で、見たものを映像にして脳に運ぶ働きがあるということで、
その働きはカメラのフィルムに例えられています。

  1. 網膜神経節細胞層
  2. 内顆粒層
  3. 外顆粒層

これら細胞は特殊な顕微鏡を使わなければ計れないほど繊細です。
それらをひとつひとつ数える事は人間では不可能です。
そこで、多光子顕微鏡という特殊機材でそれらの神経の密度を計り出す事に成功しました。

その結果、老人のグループで、1、3の細胞の中央部分の密度が多く減っている事が確認されました。
この結果の意味する所は、人間が歳をとると細胞の密度が減るという事でした。

今までは、目のレンズの調節機能の弱体化と言われていましたが、それに加えて細胞の密度も減る事によって、老眼が引き起こされていたというわけです。
この現象は、もうどうしようもありません。老化に逆らって神経の密度を増やす事は出来ませんし、
老眼の進行はある程度は避けられないという事でしょう。

今、若者の間でも老眼が増えていると話題になっていますが、
これは一種の眼精疲労の延長で起きている症状であって、実際の老化はもっと多くの部分の劣化が関係している事を裏付ける結果になったと言えるでしょう。

老眼は防ぐ事の出来ない老化現象ですが、その進行を遅らせる事は可能です。
減った細胞は増やせなくても、弱った毛様体の筋肉をケアしたり、目の疲労をなるべくためない努力は決して無駄にはなりません。

眼科などでも、老眼を検査する事は可能ですし、
自分の視力にあったメガネを選ぶ事も大変重要なポイントになります。
少しでも長く、目を大事に使って行く為にも、老眼のメカニズムについて良く理解し、
自分に出来る事は色々と挑戦してみる事をおすすめします。

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